オリジナルライドウォッチをつくる 〜準備編〜
前回ご紹介したオリジナルライドウォッチ『万丈ライドウォッチ』。おそらく、同じように音声や発光を好きなように設定したライドウォッチを作りたいという方も少しはおられるかと思いますので、今回を準備編、次回をソフト(プログラム)編、そのまた次回をハード編として、どうやって作ったのかの詳細をご紹介していきたいと思います。まずは必要な具材のご紹介からです。
まずはとにもかくにもライドウォッチが必要です。
改造素材としては、多少値が張りますが、ガシャポン版でも食玩版でもなく、DX版が個人的にはおすすめです。特に、ライダータイムや武器連動、リング回転に関連するギミックを搭載したい場合は、DX版が必須です(←ガシャポン版と食玩版は有効なスイッチの数がそもそも少ないし、リングも回転しない)。次週以降のソフト・ハード解説も、DX版を改造することを前提にしています。なお、上ではビルドライドウォッチを紹介していますが、自分が作りたいもののイメージに合う色のライドウォッチがあれば、それを使う方が塗装する手間が省けてラクです。自分の場合は、作業に着手したときにはまだビルドライドウォッチしかなかったので、ビルドライドウォッチを使用しました。
続いて、メインの基板です。
私の工作では毎度おなじみのArduino Pro mini。今回は3.3V, 8MHz版を使用します。「Arduino Unoは使ったことはあるけど Pro miniは使ったことがない」という方は、書き込み用のアダプタも一緒に揃えておきましょう。以下であれば3.3Vと5Vの両方に対応しているので便利です。
続いて、音声関係です。
こちらも私の工作では毎度おなじみのMP3プレイヤーと、マイクロSDカードです。DFPlayerは極稀に初期不良があったり、そうでなくてもショートさせて壊してしまったりということがあるので、私はよく6個ぐらいまとめ買いしています。海外からだと届くまでに結構時間がかかってしまうので。また、DFPlayerはArduinoのプログラム上から音声再生命令を出したときに、実際に音声が再生されるまでに多少(1秒弱ぐらい?)のディレイがあるので、それをできるだけ小さくするため、なるべくClass 10のSDカードを使用するようにしています。実測したことがないので確かなことは言えませんが、おそらくClass 4を使ったとしてもほとんど速度差はないと思います。まあ、気持ちということで。
続いて、発光関係です。
Arduinoで簡単に制御できるフルカラーLEDです。こちらも私の工作ではおなじみです。使うのはこのテープの中の1個だけですが、たくさんあって困るものではないので、まとめ買いしておくと心置きなく失敗できます。それから、これはおまけですが、フルカラーLEDは結局中でRGBの3つのLEDが別々に光っているだけなので、光の直進性が高すぎて色が綺麗に混ざってくれなかったりすることがあります。そんなときは、光拡散キャップを被せる、ないしは切って貼り付けるなりすれば、色が綺麗に混ざって拡散されるようになります。秋月で売っているので、持っていて損はないと思います。今回の工作でも使用します。
なお、今回は「クローズをフォームチェンジさせる」という目的があったのでフルカラーLEDを使っていますが、単にLEDを光らせたいだけなら、わざわざこれは使わなくても、必要な色のLEDを買ってきて繋げばOKです。ただ、一般的な3mmとか5mmとかのLEDだと、組み込むのが難しくなると思いますので、表面実装型の薄いLEDにはしておいた方が良いと思います。
続いて、バッテリー関係です。
本当はボタン電池x3とかで駆動させられれば一番良いのですが、すみません、私の技術力ではそれが叶いません。省スペースかつパワーがあるということで、いつもこれを使用してしまいます。ただ、皆様ご承知のことと思いますが、リチウムイオン電池は取り扱いを間違えると大変危険ですので、使用は自己責任で充分にご注意ください。専用の充電器を持っていない方は、必ずそれも一緒に購入するようにしてください。
あと、人によっては不要かもしれませんが、上記のリチウムイオンポリマー電池のコネクタも持っておくと、何かと安心です。
続いて、スイッチ関係です。
- やわらかいタクトスイッチ x 1 … 竜頭部分に使用
- ディテクタスイッチ x 2 … ジクウドライバー連動部分に使用
- スライドスイッチ x 1 … 電源ON/OFFに使用
それから、万丈ライドウォッチのように『リングの回転で何かを起こす』ということをしたいのであれば、手立ては色々あると思いますが、自分の場合は以下を使用しています。
- リードスイッチ x 1
リードスイッチを反応させるための磁石も必要になります。小さくて強力なものが良いと思います。
ただ、これだと多少ライドウォッチ側を加工しないとうまくハマらないかもしれません。もう少し小さい方が組み込みはラクですが、そうなると磁力が足りなくなるかも。。。ということで、このあたりは多少トライ&エラーが必要になるところだと思います。
なお、スイッチ関連は結構簡単に壊れてしまう(特にリードスイッチ)ので、できれば複数個まとめ買いしておくことをオススメします。
続いて、電子部品ではありませんが、ライドウォッチのラベルカスタマイズ関係です。
ホワイトの方はリングに貼る用のラベルシールを、透明の方は本体側のクリアパーツに貼る用のラベルシールを作成するためにそれぞれ必要になります。もちろん、印刷するためのインクジェットプリンタも必要になります。
以上がメインで必要になる具材ですが、以下もあると何かと便利です。
スイッチを支える土台にしたりスイッチの反応具合を微調整するスペーサーに使ったりと、あると何かと便利です。というより、自分の場合は必須です。併せて、両面テープや接着剤もあるとなお良しです。
電子工作をやっている人ならほぼ確実に持っているとは思いますが、必ず先にブレッドボード上で配線をして、動作に問題がないことを確認してから、ライドウォッチの中にパーツを組み込んでいきましょう。
半田付けした部分の上にホットボンドを重ねて配線を固定することで、接触不良が起こる可能性を減らすことができます。特に、「ライドウォッチを閉じる前はちゃんと動くのに、ライドウォッチを閉じてねじ止めをすると動かなくなる」というときは、十中八九、内部のどこかに変な力が加わって接触不良が起こっています。面倒かもしれませんが、半田付けした部分は都度、ホットボンドで固定しておくことを強くオススメします。
あとは、電子工作では当たり前に必要となるはんだごて、半田、リード線、ピンヘッダ、ピンソケットがあればOKです。塗装する方は、サーフェイサーやらスプレーやらも揃えておきましょう。
次回、いよいよ中身の詳細に入っていきます。
ディスカッション
コメント一覧
pro miniはrawピンに3.3-12Vまでの入力を許容していますが、ボタン電池を使用できないのはスペースの問題など他の要因があるのですか?
ボタン電池直列接続だと動作しそうな気がするのですが。
こちらで試せなくてすみません。
匿名様
確かに、ボタン電池LR44x3の直列で1.5Vx3=4.5V、電圧としてはクリアです。ただ、これではArduino、DFPlayer、LEDが全然安定して動作してくれません。初めてオリジナルガシャット(マリオガシャット)を作ったときに色々試したのですが、私のスキルでは無理でした。
勉強不足で正確な理由は言えませんが、おそらく電圧というよりは電流の問題だと思います。自分で計測したわけではありませんが、Arduino pro miniは特に何も省電力対策をしなければ、何もしていなくても20mAぐらい消費するようです。確か、DFPlayerもそれぐらい消費したと思います。となると、少なくとも40mAぐらいは取り出せる電源が必要になります。ここで紹介しているリチウムイオンポリマー充電池は通常22mA、最大で110mAは出力できるので、問題なく駆動できます。これに対し、ボタン電池は、確か何かで見た限りでは、通常の電流の出力は0.1mAとか0.2mAとか、それぐらいだったと思います。電池を直接接続してもこれは変わりません。これぐらいの電力でArduinoを動かそうと思うと、無駄なLEDを外す、スリープモードを駆使するなどの、相当な省電力対策が必要になるものと思われます。そこを頑張って突き詰める方向もあるのかもしれませんが、自分の限られた工数の中ではちょっと厳しいので、結局毎回リチウムイオンポリマー電池を使って、ここにあまり時間をかけないようにしています。
なるほど電流でしたか。
玩具ではないですが自分が作ってるものもリポバッテリーに頼ってたので気付きませんでした。
ありがとうございました。
シールのサイズを教えてください
新たな王/アナザージョーカーアンデット 様
すみません、何cmとか何pxとかいう形では回答できません。というのも、私はいつも「大体」でシールを作っているからです。
画像データが実際に印刷されるとどれぐらいのサイズになるのかがよくわからないため、私の場合は、まずパワーポイントの1ページに、作成したいシールの大きさを微妙に変更したものをたくさん並べます。それを適当なA4用紙に印刷してみて、印刷したときにちょうど良い大きさになるサイズを見つけてから、それをラベル用のシートに印刷するようにしています。
ライドウォッチ改造の記事を探していてこちらに辿り着きました。
好きな2号・3号ライダーがDX化されそうにないのでその改造法を探していたのですが、
既存の物を使わず、基盤を自分で用意してプログラムまでするという発想に衝撃を受けました。
真似、というか参考にさせて頂こうと思いましたが・・・当方電子工作初心者の為ハードルが高く感じ、
今後電子工作をするか分からないので、この為だけに変換アダプターを揃えるのをためらっております。
なので比較的容易な方法がないか知恵をお借りできないかと思いコメントさせていただきました。
当初想定していた方法は、DX版をベースにGP版の基盤のみ移植する方法です。
「ライドウォッチ 改造」で検索して一番多くヒットする方法がこれなのでおそらく主流なのでしょうが、
よく調べると「発光はするが点滅ではなく、一定時間光続ける」もののようです。
これをDX版のように点滅、または音声が鳴っている間だけ発光させる方法はないでしょうか?
長々とすみません。よろしくお願いします
ローグチェイサー様
> よく調べると「発光はするが点滅ではなく、一定時間光続ける」もののようです。
なるほど、それが主流なのですね。他の方のやり方はあまり気にしていなかったので、全然知りませんでした。。。
> これをDX版のように点滅、または音声が鳴っている間だけ発光させる方法はないでしょうか?
私自身はSG版・GP版をベースにした改造はまだトライことしたことがないので正確なことは言えないのですが、DX版をベースとして使って良いのであれば、クレーンの丈様がクローズライドウォッチを発光改造させていたときの方法が使えるのではないかと思います。すでにご覧になっているかもしれませんが、もしまだ見たことがないようでしたら、一度ご覧になってみてください。
クローズライドウォッチ 発光改造してみた!完成版 仮面ライダージオウ
https://youtu.be/9QT1qAxj8MQ
こんにちは
リチウムイオンバッテリーは充電がなくなったら取り出して充電!てな感じでしょうか?
中にモジュールを組み込むことってできそうなものでしょうか?
そうま様
「モジュール」というのが何を指しているのかがわからないのですが、少なくともこの記事を書いていた時点では、おっしゃる通り、リチウムイオン充電池は充電がきれたら都度ライドウォッチを分解して充電、ということになっています。
その後の作品では一部改善していて、例えばネオディケイド&ネオディエンドライドウォッチや、プログライズライターとセットで作成したプログライズキーについては、玩具と同じで電池蓋のところを開けるだけで充電できるように配線を見直しています。
こんにちは。
いつもお早い回答ありがとうございます。
私もオリジナルライドウォッチを作りたいと思い記事を拝見し色々と勉強、質問させていただいております。電子工作の類は全くの初心者です。hidakaさんのようなDXの素晴らしい改造を作りたいと思っておりますが、まずは勉強も兼ねてDFPlayerをArduinoUNOに接続してmp3の再生をするとこからやっております。以下のスケッチでブレッドボードで再生することはできました。基礎的な質問ですがスイッチを2個以上用意して、SDカード内の任意のファイルを再生することは可能なのでしょうか?またSG,GPの仕様のようのなスケッチは作成可能なものなのでしょうか?
#include “DFRobotDFPlayerMini.h”
#include “SoftwareSerial.h”
SoftwareSerial mySoftwareSerial(10, 11); // RX, TX
DFRobotDFPlayerMini myDFPlayer;
void setup() {
pinMode(2,INPUT);
myDFPlayer.begin(mySoftwareSerial) ;
mySoftwareSerial.begin(9600);
myDFPlayer.volume(30);
}
void loop() {
if(digitalRead(2) == HIGH){
myDFPlayer.next();
delay(1000);
}
}
エース 様
DFPlayerを鳴らすのでつまづく人も結構いることが最近わかってきたので、初心者ながらそこまで辿り着けているのはすごいと思います。
> 基礎的な質問ですがスイッチを2個以上用意して、SDカード内の任意のファイルを再生することは可能なのでしょうか?
はい。私が作成しているものはだいたいそうです。スイッチのON/OFF状態の組み合わせ方(正確には、それに伴う状態遷移)にしたがって、鳴らす音声を変えています。myDFPlayer.next()ではなく、 myDFPlayer.playMp3Folder(X)を使うのが簡単です。Xの部分は、SDカードのmp3フォルダに入れている”0001.mp3″や0002.mp3″の1や2に相当する数字です。
> SG,GPの仕様のようのなスケッチは作成可能なものなのでしょうか?
はい、DX仕様を作るよりも遥かに簡単です。